アーユルヴェーダ   

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今こそ医・科学に応用されるべき

大東文化大学 スポーツ・健康科学部教授

医学博士 琉子友男

心身のコミュニケーションと治癒に関するサイコバイオロジー理論では、心と脳、脳と身体、細胞と遺伝子とを結ぶサイバネティック・コミュニケーションループが記憶、学習、行動、人格に関与するとみなす。これはデカルト的二元論の持つ心と身体の乖離を埋めることを可能にする理論といえ、前向きな態度や感情など心が自律神経系、内分泌系、免疫系に作用し、治癒効果を高めることを示唆する。

一方、スイスの研究者達は近年、オキシトシンという心身の情報変換に使用されるホルモンが人の抱く信頼感を強める働きがあると発表した。これは心が情報伝達物質によって制御されることを示唆する。

古代インド生命科学理論である「アーユルヴェーダ」では、すでに治癒効果を高めるには心身のコミュニケーションが重要だと指摘している。また、アーユルヴェーダでは病気や健康もすべて宇宙の「ゆらぎ」に過ぎないと考えるが、「ゆらぎ現象」は現在、脳波,心拍変動など心から遺伝子までのコミュニケーション調整時に認められている。

今回出版される『アーユルヴェーダ≪ススルタ≫大医典』には最新の分子生物学的事実を利用したかと思えるような、あるいはそれを越えると思われる治療法が多く記載されている。21世紀は「心の時代」と言われている。WHOも1991年に心の要因も含めた健康の定義の改正案を提案した。今こそアーユルヴェーダ理論が医・科学に応用されるべきである。